南青山の閑静な住宅街に今年オープンしたばかりの「Feb gallery Tokyo」。明るい日が差し込む白を基調とした空間が印象的なギャラリーだ。ここでクリスマスを目前にした12月に行われた展示「WINTER ART MARKET」を取材した。

お話を伺ったのはディレクターの田辺良太さん。「アートなものならなんでもあり!」を掲げるARTRANDOMの主催者でもあります。会場内を巡りながら、ギャラリーに集まった作品について教えていただく。

錚々たるギャラリーから集まったアートの数々

まずは会場の中心からぐるりと周囲を見渡してみる。アパレル、ヴィンテージの小物からポスター、アートブック、そしてオリジナルの絵画、立体にいたるまで、さまざまな作品が並べられている。

「インスタレーションも購入できますよ。この作品だと、この風船とガスを入れる装置、そして下の重りの部分が作品です。柱のドローイングは、作品の搬入時に作家の利部 志穂さんが書いていったものです」

展示方法はシンプルで大胆
コンクリートの地面に直置きされている作品や、会場で行われているインスタレーションの一部は柱に直筆のドローイングを施したものまで

さらに会場内を進む。ギャラリーから持ち込まれたさまざまなアートが並べられている。なるほど、それぞれのギャラリーの特色が違っていて面白い。ギャラリーのスタッフが会期中は何度も作品の掛け変えを行っているので、空間の雰囲気がいつ来ても変わっているそう。

「作品は各ギャラリーにこれといって特別なオーダーを出したわけではなく、それぞれのとっておきを持ってきていただきました。ダミアンハーストなんかは、僕が「持ってきてよ」と声をかけましたけどね。こうしてみるとギャラリーの色が自然に出て、面白いでしょう」

さらに会場内を探索 作品だけでなく、アートブックにも注目

会場を賑やかにしているのはカラフルなポスターたち。「ポスターは最近ではあまり刷られなくなったので貴重になってきています。ポスターだけでなく、紙のチケットなども最近では少なくなりましたね。」

また、会場のところどころで目を引いたのが、本やアパレル、ヴィンテージの品々のコレクション。 会場中央にあるのがディレクターの田辺さんのコレクションから選ばれた雑誌の数々。17才で渡英しNYから雑誌に情報を送る特派員をしていたという田辺さんだからこそできる、カルチャー全盛期の雑誌のコレクションだ。

「『relax』は、僕のこだわりで今回は付録のシールがひとつも欠けてないものをもってきました。この時代の雑誌は読んでいて本当に面白いですよ。みに来た人がこのコーナーをきっかけに知ってくれたら、という思いで写真集なども選書しました」

本のコーナーには奥にももうひとつ。twelvebooksにより選書された、アートブックのコレクション。およそ30点ほどのアートブックがずらり。

「アートだけでなく、アートブックもコレクター目線で捉えると集めがいがあります。例えば、ローレンス・ウェイナーのアートブック(写真中央のオレンジの表紙)は、ついこのあいだの12月2日に作家が急逝したことで値段が跳ね上がっています。これから大きな展覧会がある作家のものは値段が上がることも期待できますし、社会の動きに応じてマーケットが反応するのはアートブックも同じです」

さまざまなアートブックの中でも、立体的なつくりが珍しく目をひいたこちらは、マルセル・デュシャンのポートフォリオのレプリカ。ぱたん、ぱたんと開くと仕掛け絵本のように中から立体やドローイングが出てくるようになっていて、デュシャンのアートピースの縮小版といったところ。実際にデュシャンが生前に持ち歩き、これを使って作品を説明してまわっていたのだそう。

最後にご紹介するのは、「Feb gallery Tokyo」が直接コンタクトするなどして集めてきた若手作家の作品だ。

「若手作家の作品は、同じ時代を生きながらアーティストが成功を重ね、値段が上がっていくのを目の当たりにできる楽しさがあります。自分がコレクションした作家が大きなところで展示をするのを見に行くのはなんだか嬉しいものですよ。うちのギャラリーに展示している作家でも、ここ5年で大きく値が上がったり成功してきている作家が多くいます。プリントではなくオリジナルをコレクションできるのもいいところのひとつ。」

最後に、田辺さんにアートのコレクションの仕方を聞いてみた。

「有名な作家の値段が下がらない作品を買うのも、若手作家に期待を込めて買うのも、買う人の気持ち次第で僕はどちらでもいいと思います。大切なのは、やっぱり『好きかどうか』。自分の家に飾りたいかどうか、合うかどうかで最後は決めるので良いんじゃないでしょうか。アートのことがわからなくても、買う作品に悩んでいても大丈夫。作家のことを教えたり、作品を選ぶお手伝いをするのはギャラリストやキュレーターの仕事だと僕は思っています。ちょっとハードルが高いという人も、気軽に遊びに来て欲しい。」

そう話しながら、ひとつひとつの作品について丁寧に教えてくれた田辺さん。説明を受けてもう一度会場内をまわってみると、また違った見え方になるのが新鮮だ。

「Feb gallery Tokyo」は、可動の壁や気持ちの良い空間を生かして、若手からベテランまで様々な作家の展示や、クリエイティブな展示を行う予定だそう。2022年は作家の個展が予定されているとのこと。南青山に、ひとつこんなスポットを知っていると、街を歩く足取りも軽い。

Feb Gallery Tokyo
〒107-0062
東京都港区南青山4-8-25

南青山の閑静な住宅街に今年オープンしたばかりの「Feb gallery Tokyo」。明るい日が差し込む白を基調とした空間が印象的なギャラリーだ。ここでクリスマスを目前にした12月に行われた展示「WINTER ART MARKET」を取材した。

お話を伺ったのはディレクターの田辺良太さん。「アートなものならなんでもあり!」を掲げるARTRANDOMの主催者でもあります。会場内を巡りながら、ギャラリーに集まった作品について教えていただく。

錚々たるギャラリーから集まったアートの数々

まずは会場の中心からぐるりと周囲を見渡してみる。アパレル、ヴィンテージの小物からポスター、アートブック、そしてオリジナルの絵画、立体にいたるまで、さまざまな作品が並べられている。

Feb Gallery Tokyo
〒107-0062
東京都港区南青山4-8-25

「インスタレーションも購入できますよ。この作品だと、この風船とガスを入れる装置、そして下の重りの部分が作品です。柱のドローイングは、作品の搬入時に作家の利部 志穂さんが書いていったものです」

展示方法はシンプルで大胆
コンクリートの地面に直置きされている作品や、会場で行われているインスタレーションの一部は柱に直筆のドローイングを施したものまで

さらに会場内を進む。ギャラリーから持ち込まれたさまざまなアートが並べられている。なるほど、それぞれのギャラリーの特色が違っていて面白い。ギャラリーのスタッフが会期中は何度も作品の掛け変えを行っているので、空間の雰囲気がいつ来ても変わっているそう。

「作品は各ギャラリーにこれといって特別なオーダーを出したわけではなく、それぞれのとっておきを持ってきていただきました。ダミアンハーストなんかは、僕が「持ってきてよ」と声をかけましたけどね。こうしてみるとギャラリーの色が自然に出て、面白いでしょう」

さらに会場内を探索 作品だけでなく、アートブックにも注目

会場を賑やかにしているのはカラフルなポスターたち。「ポスターは最近ではあまり刷られなくなったので貴重になってきています。ポスターだけでなく、紙のチケットなども最近では少なくなりましたね。」

また、会場のところどころで目を引いたのが、本やアパレル、ヴィンテージの品々のコレクション。 会場中央にあるのがディレクターの田辺さんのコレクションから選ばれた雑誌の数々。17才で渡英しNYから雑誌に情報を送る特派員をしていたという田辺さんだからこそできる、カルチャー全盛期の雑誌のコレクションだ。

「『relax』は、僕のこだわりで今回は付録のシールがひとつも欠けてないものをもってきました。この時代の雑誌は読んでいて本当に面白いですよ。みに来た人がこのコーナーをきっかけに知ってくれたら、という思いで写真集なども選書しました」

本のコーナーには奥にももうひとつ。twelvebooksにより選書された、アートブックのコレクション。およそ30点ほどのアートブックがずらり。

「アートだけでなく、アートブックもコレクター目線で捉えると集めがいがあります。例えば、ローレンス・ウェイナーのアートブック(写真中央のオレンジの表紙)は、ついこのあいだの12月2日に作家が急逝したことで値段が跳ね上がっています。これから大きな展覧会がある作家のものは値段が上がることも期待できますし、社会の動きに応じてマーケットが反応するのはアートブックも同じです」

さまざまなアートブックの中でも、立体的なつくりが珍しく目をひいたこちらは、マルセル・デュシャンのポートフォリオのレプリカ。ぱたん、ぱたんと開くと仕掛け絵本のように中から立体やドローイングが出てくるようになっていて、デュシャンのアートピースの縮小版といったところ。実際にデュシャンが生前に持ち歩き、これを使って作品を説明してまわっていたのだそう。

最後にご紹介するのは、「Feb gallery Tokyo」が直接コンタクトするなどして集めてきた若手作家の作品だ。

「若手作家の作品は、同じ時代を生きながらアーティストが成功を重ね、値段が上がっていくのを目の当たりにできる楽しさがあります。自分がコレクションした作家が大きなところで展示をするのを見に行くのはなんだか嬉しいものですよ。うちのギャラリーに展示している作家でも、ここ5年で大きく値が上がったり成功してきている作家が多くいます。プリントではなくオリジナルをコレクションできるのもいいところのひとつ。」

最後に、田辺さんにアートのコレクションの仕方を聞いてみた。

「有名な作家の値段が下がらない作品を買うのも、若手作家に期待を込めて買うのも、買う人の気持ち次第で僕はどちらでもいいと思います。大切なのは、やっぱり『好きかどうか』。自分の家に飾りたいかどうか、合うかどうかで最後は決めるので良いんじゃないでしょうか。アートのことがわからなくても、買う作品に悩んでいても大丈夫。作家のことを教えたり、作品を選ぶお手伝いをするのはギャラリストやキュレーターの仕事だと僕は思っています。ちょっとハードルが高いという人も、気軽に遊びに来て欲しい。」

そう話しながら、ひとつひとつの作品について丁寧に教えてくれた田辺さん。説明を受けてもう一度会場内をまわってみると、また違った見え方になるのが新鮮だ。

「Feb gallery Tokyo」は、可動の壁や気持ちの良い空間を生かして、若手からベテランまで様々な作家の展示や、クリエイティブな展示を行う予定だそう。
2022年は作家の個展が予定されているとのこと。南青山に、ひとつこんなスポットを知っていると、街を歩く足取りも軽い。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *