プールの見え方も変わるかも。プールとアートの話。

プールから得たインスピレーションを、あなたならどこにぶつけるでしょう? 今日は、プールをテーマにしたアートのお話。アートを知れば、プールを見る目も変わるかもしれません。

誰もいないプールの特別な気持ちよさ。

プールと言えばこのレコードジャケットを真っ先に思い浮かべる方もいるのではないでしょうか。イラストレーターであり、グラフィックデザイナーの永井博氏による作品です。抜けるようなブルーと、直射日光が作り出すぎらりとした影のコントラストが美しい、思わず飛び込みたくなるようなプールは、彼の定番モチーフのひとつです。


筆者がこのプールの絵の数々に引き込まれるのは、描かれるプールの凛とした静けさと、その背後にある高揚感から。まるで、早起きしてプールサイドに出てみたら誰もいなかった時のような、透き通った期待感に包まれます。原画を見るには、恵比寿にあるギャラリー「FMCD Gallery Studio」へ。


若き才能が描くアメリカ文化の違和感



キャンバス地にアクリル絵の具を用いてプールを描く作家を紹介するならば、​​若き才能、マリウス・メッシネーゼにも言及しておくべきでしょう。庭園、プールといった典型的なアメリカ文化の象徴とも言えるモチーフを建築的に、フラットに描く筆遣い。デイヴィッド・ホックニーの影響を受けたことは自明であるものの、そのモチーフには現代建築の影響も見てとることができ、次世代のプールを描く代表的な画家となるかもしれません。

ぱっと見た瞬間はその爽やかさや色合いに魅了され、次第に絵づくりの平坦さやいきいきとした植物と建築のコントラストに、プールの人工物としての違和感を感じさせられる奥行きのある作品です。



引用元:金沢21世紀美術館公式ウェブサイト (© Leandro ERLICH 撮影:渡邉修)

プールの底を歩いてみたら


プールの底を歩く体験ができるインスタレーションが、金沢21世紀美術館にある「スイミング・プール」。美術館の中庭の地上部分から見ると、一見すると水で満たされた普通のプール。けれど、プールの水面のように見えるのはガラスの上に張られた10センチほどの水で、その下に実際に入ることができる空間が広がっているという作品です。美術館の中から作品の展示スペースに入ると、このプールの底と同じ高さの入り口から中に入り、プールの底に立つことができます。


この作品に実際に入ってみた時、水面を見上げる心もとなさや、水の中で息をしているような不思議な感覚を味わうことができました。この作品を制作したレアンドロ・エルリッヒ氏は、私たちが捉えている現実に、個性的な建造物が起こす錯覚のような体験を通して新たな視点を与えるのが作風。金沢を訪れた時はぜひ体験したい作品です。

使われなかったプールが象徴するのは?

使われなくなったプールに目を向けるアーティストもいます。写真家の平野太呂氏の「POOL」はタイトル通り、被写体はプール、けれども、水のないプールです。彼の初めての写真集であるこの作品は、同時に代表作にもなりました。撮影されたプールはどれも、西海岸の住宅地でかつては水で満たされていたプール。アメリカの繁栄を象徴するかのようなものでした。いつしかその繁栄の時が過ぎ、水が抜かれて乾いたプールはスケーターたちの滑り場となっていきます。

日光にあたり色褪せたプールの底、生い茂った植物。本来の役目を終えたプールには、かつて水で満たされていた頃を懐かしむようなノスタルジックな雰囲気と同時に、新たなストリートシーンのベースになるトポスとして生まれ変わった力強さも感じさせます。さまざまなプールの形を見られるのもこの本の面白いところ。気になった方は、写真集が豊富な書店でチェックしてみてください。

潜水するポートレート

空っぽのプールの次は、ポートレートを見てみませんか? ドキュメンタリー写真家のディアナ・テンプルマンは、プールに潜水するヌードの女性を撮影した「TheSwimmingPool」シリーズは、およそ8年もの歳月をかけて制作された彼女の代表的な作品です。水面から届く光を反射したプールに潜る女性たちの身体は、水の中という特殊な空間により演出されます。例えば水にたゆたう髪、唇からあふれる空気の泡。

この作品の魅力は、観賞しているうちにプールの水や光の反射がセットのようにも見えてきて、身体の特徴やその魅力により焦点が合ってくることなのではないかと筆者は考えました。ゼリーのようなプールの水の中に浮かび上がる被写体の輪郭は、地上で撮影されるポートレートよりもずっとリアルに、けれど非現実的に鑑賞者に訴えるのです。

引用元:FIFTY ONE

プールを巡る作品をこうして見ていると、囲われた空間に人工的に水を張るというプールそのものが、特別なもののように思えてきます。アートから得た新たな視点を持ってプールサイドに出かければ、次のプールで過ごす休日も一風変わったものになるはず。

プールになかなか出かけられないという人は、プールをテーマにした作品を壁にかけて、夕涼みというのも一興ですね。

プールから得たインスピレーションを、あなたならどこにぶつけるでしょう? 今日は、プールをテーマにしたアートのお話。アートを知れば、プールを見る目も変わるかもしれません。

誰もいないプールの特別な気持ちよさ。

プールと言えばこのレコードジャケットを真っ先に思い浮かべる方もいるのではないでしょうか。イラストレーターであり、グラフィックデザイナーの永井博氏による作品です。抜けるようなブルーと、直射日光が作り出すぎらりとした影のコントラストが美しい、思わず飛び込みたくなるようなプールは、彼の定番モチーフのひとつです。

筆者がこのプールの絵の数々に引き込まれるのは、描かれるプールの凛とした静けさと、その背後にある高揚感から。まるで、早起きしてプールサイドに出てみたら誰もいなかった時のような、透き通った期待感に包まれます。原画を見るには、恵比寿にあるギャラリー「FMCD Gallery Studio」へ。

引用元:THOMAS TOURNEMINE GALLERY

若き才能が描くアメリカ文化の違和感


キャンバス地にアクリル絵の具を用いてプールを描く作家を紹介するならば、​​若き才能、マリウス・メッシネーゼにも言及しておくべきでしょう。庭園、プールといった典型的なアメリカ文化の象徴とも言えるモチーフを建築的に、フラットに描く筆遣い。デイヴィッド・ホックニーの影響を受けたことは自明であるものの、そのモチーフには現代建築の影響も見てとることができ、次世代のプールを描く代表的な画家となるかもしれません。

ぱっと見た瞬間はその爽やかさや色合いに魅了され、次第に絵づくりの平坦さやいきいきとした植物と建築のコントラストに、プールの人工物としての違和感を感じさせられる奥行きのある作品です。

プールの底を歩いてみたら

引用元:金沢21世紀美術館公式ウェブサイト (© Leandro ERLICH 撮影:渡邉修)

プールの底を歩く体験ができるインスタレーションが、金沢21世紀美術館にある「スイミング・プール」。美術館の中庭の地上部分から見ると、一見すると水で満たされた普通のプール。けれど、プールの水面のように見えるのはガラスの上に張られた10センチほどの水で、その下に実際に入ることができる空間が広がっているという作品です。美術館の中から作品の展示スペースに入ると、このプールの底と同じ高さの入り口から中に入り、プールの底に立つことができます。


この作品に実際に入ってみた時、水面を見上げる心もとなさや、水の中で息をしているような不思議な感覚を味わうことができました。この作品を制作したレアンドロ・エルリッヒ氏は、私たちが捉えている現実に、個性的な建造物が起こす錯覚のような体験を通して新たな視点を与えるのが作風。金沢を訪れた時はぜひ体験したい作品です。

使われなかったプールが象徴するのは?

使われなくなったプールに目を向けるアーティストもいます。写真家の平野太呂氏の「POOL」はタイトル通り、被写体はプール、けれども、水のないプールです。彼の初めての写真集であるこの作品は、同時に代表作にもなりました。撮影されたプールはどれも、西海岸の住宅地でかつては水で満たされていたプール。アメリカの繁栄を象徴するかのようなものでした。いつしかその繁栄の時が過ぎ、水が抜かれて乾いたプールはスケーターたちの滑り場となっていきます。

引用元:平野太呂公式ウェブサイト

日光にあたり色褪せたプールの底、生い茂った植物。本来の役目を終えたプールには、かつて水で満たされていた頃を懐かしむようなノスタルジックな雰囲気と同時に、新たなストリートシーンのベースになるトポスとして生まれ変わった力強さも感じさせます。さまざまなプールの形を見られるのもこの本の面白いところ。気になった方は、写真集が豊富な書店でチェックしてみてください。

潜水するポートレート

空っぽのプールの次は、ポートレートを見てみませんか? ドキュメンタリー写真家のディアナ・テンプルマンは、プールに潜水するヌードの女性を撮影した「TheSwimmingPool」シリーズは、およそ8年もの歳月をかけて制作された彼女の代表的な作品です。水面から届く光を反射したプールに潜る女性たちの身体は、水の中という特殊な空間により演出されます。例えば水にたゆたう髪、唇からあふれる空気の泡。

この作品の魅力は、観賞しているうちにプールの水や光の反射がセットのようにも見えてきて、身体の特徴やその魅力により焦点が合ってくることなのではないかと筆者は考えました。ゼリーのようなプールの水の中に浮かび上がる被写体の輪郭は、地上で撮影されるポートレートよりもずっとリアルに、けれど非現実的に鑑賞者に訴えるのです。

引用元:FIFTY ONE

プールを巡る作品をこうして見ていると、囲われた空間に人工的に水を張るというプールそのものが、特別なもののように思えてきます。アートから得た新たな視点を持ってプールサイドに出かければ、次のプールで過ごす休日も一風変わったものになるはず。

プールになかなか出かけられないという人は、プールをテーマにした作品を壁にかけて、夕涼みというのも一興ですね。

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through the lens of Fumio Takashima and friends.