体を巡る本当に豊かな食べ物

みなかみ町に降り立って最初に訪れた直売所で農家の方と言葉を交わしただけで、この町の食の豊かさは瞭然だった。

From farmers to your plate.

「東京じゃ、一本いくらかな。こっちでは、ひと袋100円で、何本詰められるかだからね」

自慢げに鮮やかな深い緑色のきゅうりをぎっしりつまった袋を並べながら目を細める。手に持つと、ずしっとした重量感とはちきれんばかりの鮮度が伝わってきた。その隣には、同じように朝採ったそれぞれの農家の野菜が並んでいる。じゃがいも、だいこん、梅干し、りんご、ひらたけ、しいたけ、まいたけ、花豆。そのどれもが大ぶりで、思い思いの形、絵具で塗ったような鮮やかな彩りをたたえている。

みなかみの町を歩けば、どこにでも作物が見られる。りんごの木は絵本に出てくる外国の風景のように大きく、片手に持てないほど大きなりんごがいくつもいくつもなっている。隣の畑は両手くらいの大きさがあろうかというとうがらし。見渡す限り続く田んぼには黄金に実った稲が揺れて風の匂いまで香ばしい。

The best food you can think of.

ふらりと立ち寄る場所で食べるものが、目が覚めるようにおいしく、噛むたびに五感が呼び起こされていく。この野菜、こんな味だったのか。とみなかみで何度思っただろう。都会では疎ましく思いすらした苦味さえも、爽やかでおいしく、細胞に栄養が取り込まれていくのを感じる。お米に甘みがあったことを初めて知る。そして、見たこともない豪勢な大きさのきのこや、力強い蕎麦のこしに感嘆する。本当に豊かな食べものは、気持ちを動かし体を元気にしながら巡ることを身を持って知ることになる。実りの町、みなかみ。

Stories about adventures, about design and what’s inspiring in life
through the lens of Fumio Takashima and friends.

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